
- 作者: 伊坂幸太郎
- 出版社/メーカー: 角川書店(角川グループパブリッシング)
- 発売日: 2007/06/23
- メディア: 文庫
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内容(「BOOK」データベースより)
「復讐を横取りされた。嘘?」元教師の鈴木は、妻を殺した男が車に轢かれる瞬間を目撃する。どうやら「押し屋」と呼ばれる殺し屋の仕業らしい。鈴木は正体を探るため、彼の後を追う。一方、自殺専門の殺し屋・鯨、ナイフ使いの若者・蝉も「押し屋」を追い始める。それぞれの思惑のもとに―「鈴木」「鯨」「蝉」、三人の思いが交錯するとき、物語は唸りをあげて動き出す。疾走感溢れる筆致で綴られた、分類不能の「殺し屋」小説。
あらすじ
2年前に妻をひき逃げ事故で失った鈴木は、その犯人寺原の息子に復讐するために、教師を辞職し、社長寺原が経営する悪徳企業「フロイライン」に入社する。
社長の会社フロイラインは悪徳企業。依存性のある薬をいれた健康食品を売りつけたりして利益を上げている。
そんな会社に入社した鈴木を教育係の比与子は疑っていて、鈴木の忠誠心を図るため、鈴木に、街で声をかけたカップルを拳銃で殺せと指示する。
ところが、その直後寺原の息子が鈴木の見ている前で車に轢かれて死んでしまう。
鈴木は寺原の息子が何者かに背中をおされて車道に飛び出しているところを目撃し、それが「押し屋」という殺し屋の仕業であることを知る。
比与子に命じられ、押し屋を追いかけた鈴木はは押し屋「あさがお」と接触。
彼は菫という女性と幼い息子という家族がいるがいるシステムエンジニアで、このことを比与子に報告できずにいた鈴木は比与子に監禁されてしまう。
そして拷問にかけられそうになるが、ここで別の殺し屋蝉がでてきて鈴木は助けられる。
話は変わり、ターゲットを自殺に追い込む殺し屋「鯨」は衆議院議員の男梶から依頼を受け秘書を自殺に追い込み殺します。
ところが小心者の梶は今度はその鯨の殺害をあっせん業者をはさんで蝉に依頼する。
梶に呼びだされた鯨は蝉が到着する前に梶の不振な様子に気づき、
梶は返り討ちにあい、かつ蝉が自分を殺そうとしていることを知る。
蝉は寺原の会社の社員が押し屋を探している情報を聞き出していたために梶の指定した時間に遅れてしまったのだった。
ターゲットを見失った蝉は、フロントラインの社員が血眼になって探している押し屋を探すため、押し屋追跡していた鈴木を追跡する。
そこで比与子に監禁されている鈴木を発見し救出したのだ。
また、鯨はこれまで殺してきた人間の幻覚が幻聴に悩まされていたので、引退を考えていたが、過去に一度殺しを押し屋に先越されてしまったことがあったため押し屋を殺してから引退しようと彼もまた押し屋を探していた。
そのため鈴木を救出した蝉が外にでるとそこには鯨がいて、2人は戦うことになり結果鯨が蝉を殺します。
その隙に槿が鈴木を車にのせ脱出。
ここからネタバレ
ひまわりは「劇団」の人間であることを鈴木に告げる。
「劇団」とはフロイラインと敵対しているグループで彼らは寺原を殺害する予定だった。
ひまわりの家族のようにみえていたすみれや息子も実は家族ではなく劇団の人間で、比与子がさらった若いカップルもスズメバチと呼ばれる劇団の仲間だった。
その後スズメバチたちが寺原を毒殺。比与子も押し屋によって電車で死亡した。
蝉を殺した鯨は鈴木を追いかけていたが、亡霊が見え、その亡霊に導かれるように道路に飛び出し死亡。
こうして妻の死にかかわった人達がすべて死に、鈴木は塾講師として再出発をすることに。
鈴木の妻が最低な男にひき逃げされた事実はもう覆らないのですっきりした最後とは言えないかもしれないけれど、一般人の鈴木が裏社会に片足突っ込んでしまったにもかかわらず無傷のまま表社会に戻れて、なおかつ嫌な奴たちもいなくなったのでまぁ希望のあるラストにはなってたかなぁ。
好きな言葉
最近で一番刺さった言葉・・・
世の中の不幸の大半は、
誰かが高をくくっていたことが原因なんだってば
無関心でいるといつの間にか洪水に呑まれてるんだぞ。
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殺し屋シリーズ