ワンオペワーママの賢い子育て

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【2004年のホラーサスペンス大賞受賞作】九月が永遠に続けば 沼田まほかる

 

九月が永遠に続けば (新潮文庫)

九月が永遠に続けば (新潮文庫)

 

 

 

内容(「BOOK」データベースより)

高校生の一人息子の失踪にはじまり、佐知子の周囲で次々と不幸が起こる。愛人の事故死、別れた夫・雄一郎の娘の自殺。息子の行方を必死に探すうちに見え隠れしてきた、雄一郎とその後妻の忌まわしい過去が、佐知子の恐怖を増幅する。悪夢のような時間の果てに、出口はあるのか―。人の心の底まで続く深い闇、その暗さと異様な美しさをあらわに描いて読書界を震撼させたサスペンス長編。

 

別れた医者の夫(雄一郎)の元患者で再婚相手(亜沙美)の連れ子(冬子)の恋人(犀田)と情事を繰り返す佐和子。

そんなある日高校生の一人息子(文彦)が突然いなくなり次の日にその愛人(犀田)が電車に飛び込んで死亡した。
一人息子の文彦が愛人を殺したのか?それとも??息子の生死は?


この作品がデビュー作とはとっても思えないほど読みやすくて面白かったです。
夜読み始めたのですが、朝までぶっ通しで読んでしまうほどのめりこみました。
「ホラーサスペンス大賞」受賞作品ですが、ホラーというよりミステリーに近いかも。

 


最初は、元夫(雄一郎)と何かしらの形で繋がりたいと願うあまりによりによって元夫の連れ子の恋人(犀田)とホテルに行き、そのせいで息子がいなくなったかもしれないのに、プライバシーにずかずか踏み込んでくるも優しい隣人(服部)に腹をたてている主人公の佐和子に腹立たしさをかんじていたのですが、話は途中で大きく変わっていき、元夫の再婚相手の過去が明らかになってくるころには、この本の大きな謎であるはずの息子の逃亡と愛人の事故死のつながりよりも、この元夫の再婚相手(亜沙美)がこの本の核だと気づきました。(実際、息子の行方と愛人の事故死の謎ときはさほど面白くないです)

 

ここからちょっとネタバレ

 

佐和子は人を見下すところがあるし、ヒステリーだし、元夫へのゆがんだ愛も気持ち悪いんだけど、でもいなくなった息子の身を案じている姿等は共感できる人物。

まぁ良くも悪くも普通のおばさん。

 

犀田の事故死の真相は、文彦の学校に文彦に思いを寄せる女性がいて、その女性が文彦と冬子が付き合っていると勘違いし、冬子が恋人の犀田といるところを目撃した時に二股していると勘違いし、冬子を殺すつもりが間違って犀田が電車にひかれてしまったというものでした。

この後冬子は人間関係につかれて自殺してしまいます。

 

そして亜沙美。この小説の主人公といってもいい女性。

亜沙美は小さいときから何度もレイプ経験があり精神科医の雄一郎の治療を受けていた。(この過去の描写とかはトラウマレベル。冬子はこのレイプにより身ごもった子)

なのに雄一郎もまた亜沙美にドはまりしてしまい妊娠させ結婚する。

とにかくその美貌と雰囲気とで相手を狂わせる女性。

(完全に狂う男性の方が悪いんだけど。)

で現在再度精神を病んでいる。

 

彼女自身にはなんの落ち度もないと思うのですがむしろ被害者だし、でも近くにはいて欲しくない・・・。

本だからこそあり得るというよりかは現実にそういう女性がいてもおかしくないかもと思わせて本当に怖い。

彼女自身がわざとそういう風に仕向けてるという展開ならまだしも、そうではないところも怖い。

 

あ。失踪していた文彦は母親の情事なんかより思春期の抑えられない性衝動で亜沙美の元にいました。彼もまた・・・

 

 

強いて言うならばその文章力の高さからかやたら回想シーンや他の話をさしこんでくるのが多くてちょっとうんざりするところはあるかも。
あと、内容的にも盛り込みすぎて、一冊にしてしまうより別のお話にした方がよかったかなって思うところが多々ありました。


この作品がデビュー作とは思えない完成度

いやミスなので読んだ後もやもやどんよりしますが、すごい作家さんです

 

 

作家の唯川恵さんが、この本を読んで

頭で読むより、皮膚で読む、そんな印象を受けました

 と表現されていてまたその言葉がぴったりの小説でした。