ワンオペワーママの賢い子育て

ワンオペで小学校低学年と保育園児を育てるワーママです

厭な小説 京極夏彦

 

厭な小説 (ノン・ノベル)

厭な小説 (ノン・ノベル)

 

 

 

厭な小説 文庫版 (祥伝社文庫)

厭な小説 文庫版 (祥伝社文庫)

 

 

 

内容紹介

「知りませんからね、読んで後悔しても。」悪寒、嫌悪、拒絶……あらゆる不愉快、詰め込んだ日本一のどんびきエンターテインメント登場――「厭だ。厭だ。厭だ――」感情的パワハラを繰り返す馬鹿な上司に対する同期深谷の、呪詛のような繰り言にうんざりして帰宅した私を、マイホームの玄関で見知らぬ子供が迎えた。山羊のような瞳。左右に離れた眼。見るからに不気味だ。なぜこんな子が、夫婦二人きりの家に? 妻はその子の存在を否定した。幻覚か? 怪訝に思う私。だが、これが底なしの悪夢の始まりだった……(「厭な子供」より)。「恐怖」と「異なるもの」を描き続ける鬼才が繰り出した「不快」のオンパレード。一読、後悔必至の怪作、ここに誕生! “ゲラを読んでいて、重~い気分になっちゃいました”って、著者が語っていいのか!?

 

 

あらすじ&感想

「読書すきなんですねー おすすめとかありますか?」と本好きなら一度はきかれる質問だと思うんだけど、あれってなかなか本当に好きな本を紹介できない。

 

若い頃、その質問をされて好きな小説を貸し借りして、そして恋愛に~

とかよく妄想したけど、実際に好きな小説を貸したらとても恋愛に発展すると思えない。

 

というどうでもいいことを考えてるのは、過去はミステリーと同様に恋愛小説もかなり読んでいたのに最近は全く恋愛小説に手が伸びないから。

 

ということで今回も暗めの本です。

 

 

「厭だ」をテーマにした作品。
この本、まず装丁から凝ってます

 

古本屋さんにずーーっとおいとかれたような日焼けやシミが本にもページにもついていてさらには時々蚊の死がいまでページにはさまってるかのように印刷されていたりもします。

こういう凝り方私は結構好きです。



「厭な子供」

子供を流産し精神的に疲れている妻と、その夫。

ある日会社から帰ってくると見知らぬ不気味な子供がそこにいて・・・。

この小説は、この後の話も含めていい方向には絶対いかないのだということもこの話を読んでわかりました。

少し強引な展開でオチをもってきた感じがします。

「厭な老人」

同居している老人が、ボケてもいないのに嫌がらせのように庭で用をたす。よく考えると常にのぞかれてるような気もする。
私にはどうしてもその老人が厭でしょうがない・・・。

一話目よりさらに『厭だ』度は増します。
怖い。この老人かなり怖い。しかもオチがさらに怖いです。

「厭な扉」

あるホテルに泊まるとそこから先は永遠に幸福が待っている。

そんなホテルの特別招待券をもらったホームレスの男がそのホテルに泊まりにいくことになった。

そのホテルでしなければいけないのは朝一番にやってくる男をピストルで撃つこと。

これは「世にも奇妙な物語」でやっていたので、最初からオチがよめてたのですが、あらためて文字で読んでもなかなか面白かったです。

「厭な先祖」

 

空気の読めない厭な部下から、無理やり押し付けられたのは仏壇だった。その仏壇から変なにおいがただよって・・・。

これは仏壇のくだりよりもこの部下の『厭だ』度がものすごいです。
もうぶん殴りたい(笑)


「厭な彼女」

 

主人公の彼女は、常に彼が「厭だ」と思ったことを必ずする。何度も何度も繰り返し・・。


この話がこの本の中で一番嫌悪感を抱きました。というか怖いです。
この女性だけでホラー小説が1つできあがるんじゃないかと思うほど。

女性の行動は常にこんな感じです。

 

ハヤシライスの上にのった数粒のグリーンピースが『厭だ』といった主人公

               ↓

それに対して「そうなんだ」と明るく答えながらも、次にハヤシライスを創る時には前回よりもさらにグリーンピースの数を増やして出す彼女

               ↓

主人公「グリーンピース嫌いっていったよね?」彼女「うん、聞いたよ」笑顔で答える彼女。

この間と何も作り方は変えてないよと平然といったりする。

               ↓

そして次にだされたハヤシライスは豆の量が十倍になっていた。
争いをさけたい主人公は「今度のハヤシライスには豆をいれないでくれ」懇願する

               ↓
そして次に彼女が「ハヤシライス」といって出してきたものは豆だけがさらに山盛りにのっただけのもの

 



主人公が厭だなって思うことに関してはすべてこうなんです。
うーーんうまく書けないけどとにかくそんな彼女がものすごう『厭』で『怖い』



「厭な家」

 

家で厭なことがあるとそれを何度も反復して繰り返したような錯覚に陥る主人公。


これも厭だなぁ。

足の小指を一回ぶつけたら何度も何もないところで同じ激痛を味わってしまうなんて考えただけでも痛い。

しかもこれはラストまで本当に救われない。


「厭な小説」

 

これまですべての短編は深谷という社員の周りで起こっていたことだった。

そんな深谷は自分のマンションの下である不思議な古本屋をみつけ、古い装丁の一冊の本を手にする。

大嫌いな部長との出張で時間をもてあました移動時にその本を開いてみると、今まで、自分の身の回りで起こってた怪奇事件がそのまま本になっているではないか!

さらに、最悪な上司と時間の無限ループにはまりこみ・・・・。

まぁ確かに厭ではあるけど、この人はそこまで不幸になっていないのでオチとしてはほっとしたかな。
今までの『厭だ』をここでうまくまとめてるなっという印象です。

 

感想

 

「人間が生理的に『厭だ』と嫌悪感がわくようなことを先に考えて、それがもし一度じゃなく無限もしくは何度も同じ場面に遭遇したらもっと『厭だ』ってなるだろうな。」

というのがこの小説を書いたきっかけだと思いますが、この「誰もが『厭だ』と感じる」ことを見つけるのがとてもうまい。
どの内容も、怪奇小説風なので「実際に起こるかも」という恐怖はうまれないのですが、その「生理的に『厭だ』な」という感覚だけは何度も感じることができます。

しかもその短編をうまく最後に収束させてさらに物語をうまくまとめあげてるあたりさすがだと思いました。

雰囲気としては、綾辻行人の「深泥丘奇談」に似ていて、どうしてそうなったかのなぞ解きはないのですが、こちらの方が題材が身近で大きな意味で本の最後に落ちをつけていてくれる分面白かったです。

 

深泥丘奇談 (角川文庫)

深泥丘奇談 (角川文庫)

 

 



全体的にはボリュームある作品ですが、とーっても読みやすくしかもぶ厚いのに紙が薄いせいかかなり軽いのでお勧めです♪