ワンオペワーママの賢い子育て

ワンオペで小学校低学年と保育園児を育てるワーママです

贖い 五十嵐貴久

 

 

贖い(上) (双葉文庫)

贖い(上) (双葉文庫)

 

 

 

贖い(下) (双葉文庫)

贖い(下) (双葉文庫)

 

 

内容紹介

7月1日東京・杉並。小学校の校門に男児の切断された頭部が置かれていた。7月2日埼玉・和光。林で、中学生の少女の刺殺死体が発見された。
7月3日愛知・名古屋。ス-パーで幼児が行方不明になる。
これらの事件を追う捜査員の姿を丹念に描き、事件の背景、
犯人の動機を重層的に炙り出す五十嵐ミステリーの新たな金字塔。

 

あらすじ&感想(ネタバレあり)

東京で小学生の男の子の頭部の遺体が発見される。

埼玉では弟の面倒をよくみる中学生の優等生が殺される。

愛知では駐車場で少し目を離したすきに1才の赤ちゃんが連れ去られる。

全く関連性がないと思われる事件と、その合間に挟まれる大手商社に勤める60才の男性の規則正しい生活の描写。

警察以外に出てくる登場人物がその60才男性(稲葉)のみなので、多分この稲葉という男性が犯人なんだろうということは容易に想像ができるけど、その人物像はとても3人の子供を殺すようには思えない。

 

その3つの事件を解決するのが星野という警察官。

頭部のみを学校前に置くという猟奇性から捜査している他の警察官とは違い、先入観なしに捜査することで早期にこの男性が犯人であることに気づきます。

 

この星野さんの観察眼がすごすぎて現実ではちょっとありえない感じなんだけど、逆に相棒の女性は逆に先入観入りすぎ。「〇〇商事の人がこんな事件起こすわけないじゃないんですか!」と全く疑わない。

それはそれでどうなのかなーって思いましたが、実際の警察官はこの女性に近い感じなのかもしれません。

 

 

とにかく事件の概要も犯人もわかった状態のまま唯一「なぜ殺したか」のみがわからず読む手がとまりませんでした。

 

ここからネタバレ

 

それぞれの被害者の父親が、かつて稲葉の子供を自殺に追いやったいじめをしていたことが犯行の動機。

 

父親は警察にいじめと断定させたところで、当時中学生の彼らが心から罪を償うとは到底思えなかったのでしょう。

息子がマンションから飛び降りたと分かった瞬間に、自殺ではなく事故であるように偽装し、その後彼らが家族をもち愛する子供が生まれるまでひたすら待ち、その子供たちを殺すことで、自ら犯した罪により何の罪もない自分の子供を失うという絶望を与える。

そのためだけの20年。

息子の境遇に気づいていながら助けられなかった自分の罪を贖う20年でもあったのかも。

 

子の親としては犯人の気持ちもわかる

いじめによる自殺は直接手を下してないだけで殺されたようなもの。

その犯人を憎む親の気持ちは痛いほどわかる。

そして親だからこそ一番の復讐は本人を直接殺すことではなく、その子供を殺すことだということにも気づいてしまうんだろう。

 

でもでもやっぱりその子供には罪がないからなぁ。

その辺の葛藤も含めの20年だったんだろうけど、あー読んでいてとても苦しくなる小説でした。

 

構成がとても面白くて。それぞれの事件に担当する警察官や犯人の周辺の人物の描写もうまくて、これは映画化やドラマ化したら人気でるんじゃないかなー

 

 

 

 

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