ワンオペワーママの賢い子育て

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死刑にいたる病 櫛木理宇

 

死刑にいたる病 (ハヤカワ文庫JA)

死刑にいたる病 (ハヤカワ文庫JA)

  • 作者:櫛木理宇
  • 出版社/メーカー: 早川書房
  • 発売日: 2017/10/19
  • メディア: 文庫
 

 

内容(「BOOK」データベースより)

鬱屈した日々を送る大学生、筧井雅也に届いた一通の手紙。それは稀代の連続殺人鬼・榛村大和からのものだった。「罪は認めるが、最後の一件だけは冤罪だ。それを証明してくれないか?」パン屋の元店主にして自分のよき理解者だった大和に頼まれ、事件を再調査する雅也。その人生に潜む負の連鎖を知るうち、雅也はなぜか大和に魅せられていく。一つ一つの選択が明らかにする残酷な真実とは。

 

あらすじ&感想

 

 

チェインドッグ (早川書房)

チェインドッグ (早川書房)

  • 作者:櫛木 理宇
  • 出版社/メーカー: 早川書房
  • 発売日: 2015/07/31
  • メディア: Kindle版
 

 

元々チェインドッグという名前でだしていた小説の改題版
絶対新しい題名と表紙の方があってる
 
 

ネタバレありあらすじ

 
自分のことを神童だと思っていた主人公の雅也
ただ、それも中学までで、進学校に進むと自分は井の中の蛙だった。
結局Fラン大に進むことになり、そこでも周りに溶け込めずにいる。
過去に自分のことを尊敬のまなざしでみていた同級生で今は同じFラン大に通う加納灯里だけは雅也に時々話しかけてくるがそれすらも同等にみられたようでうっとおしい。
 
 (小さい頃も神童ですらなかった私ですらこの気持ちわかる。賢いといわれていて自分でも賢いと思っていたのに、実は凡人だったと認めるのがまずしんどい。そしてさらに、凡人なのは認めるけどさすがにここは自分の場所ではない努力が少し足りなかっただけで(もしくは運が悪かったせいで)こんなところにいるけど自分は本来もうちょっと上に行くはずの人間だとまだ勘違いしててもがいてしまうことがしんどい。でも自分の力を過大でも過少でもなく評価できるようになるためにみんな通る道でもあるのかなぁ)
 
 
 
そんな時に30人近くの少年少女を殺し死刑の判決を受けている榛村大和から手紙が届く。
 
 
彼は雅也が中学の頃によく通っていたパン屋のお兄さんで、雅也が輝いていたころのままで記憶がとまっているらしく「8件の殺人事件は自分が犯したもので間違いないが最後の1件の殺人事件は自分がやっていない。それを君に証明してほしい」と頼まれる。
 
 
 
雅也は最初は戸惑いながら榛村大和の依頼を引き受け、榛村大和の過去を調べていく
 
 
榛村大和は、知的にも精神的にもボーダーラインだった母と母の体目当てでやってきては榛村大和に暴力をふるう男たちのもとで育った。
そして、榛村も少年院に入るような事件を犯していたが、その後は薬の過剰摂取により亡くなった母の代わりに育ててくれた養母の元で育ち、パン屋として独立してからの評判はすこぶるよかった。
だが、実際は、せっせと少年少女を監禁しては殺していてそして捕まった。
全て黒い髪の少年少女で彼らの相談を受けたりと周到に準備し監禁したのち、爪をはいだり指を残していたりと爪に執着をもった殺し方をしている。
ただし9件目は会ったその日に殺している。また爪に損傷はない。
 
 
 
ここまで調べていくうちに雅也はどんどん積極的で社交的になってきて大学でも「変わったね」といい意味で評価されるようになる。
雅也は榛村の過去に同情し、最後の事件は冤罪ではないかと思うようになっている。
 
 
ここからネタバレ
 
彼は9件目の事件は冤罪であると思いながら調査をしていく。
それと同時にどうして榛村が自分に手紙を送ったのかの謎にも近づいていく。
 
そこで自分の母が虐待されて育ち榛村と同じ養母に育てられていたことを知る。また母からの言葉で雅也は自分が榛村の子であると確信する。
実際榛村に問うと榛村は目に涙を浮かべる。
 
 
連続殺人犯ではあるけれど、やはり榛村は育ってきた環境のせいで殺人を犯してしまったが本当はいい人なんではないだろうか?
逆に自分にも彼と同じ殺人衝動があるのではないだろうか?
そのうち雅也は、小さい子をみると殺人できそうだと考える
 
 
 
 
 
 
でも実際は最後の事件も榛村の犯行。
 
榛村は過去にある兄弟をいたぶって遊んでいた時期がある。
両親の愛に飢えている兄弟を最初は飴を与えて信頼させ、その後、痛めつけていた。
しかも「どっちが僕と遊んでくれる(傷つけさせてくれる?)」と聞きお互いが自分の意思で相手を指名していることにより罪悪感を味あわせる方法で。
 
9件目の事件はそろそろ連続殺人がばれて警察に捕まることがわかった榛村が、過去の獲物であるその兄を呼び寄せ、まだ自分の支配下であることを確認する彼の遊びの中で行われた殺人だった。(過去と同じように、自らの選択で自分以外を指さし、指さされた女性が榛村に殺されたことで強烈な罪悪感を植え付けられていた)
 
 
そして雅也もまた彼の獲物の一人だった。
まず雅也は榛村の子どもではなかった
雅也の母はレイプされて妊娠してしまい、過去に性的虐待経験のある養母にばれると家を追い出されることを危惧し榛村に相談したことで、榛村に操られるようにトイレで産まれた子をすぐに殺してしまい、かつ養母に「雅也の母が妊娠し相手に結婚を迫っている」とウソをでっちあげ養母との縁を切られる。
そしてその後雅也の父と結婚して産まれたのが雅也。
ただそのころには母は自己肯定感が低く、祖母と父が支配する家で置物のような存在感になっていて現在まで雅也とも信頼関係が築けずにいた。
ただ、雅也が榛村とつながっていることを知り、ようやく榛村が父親ではないことを含め過去を雅也に話すことができた。
 
雅也は母に真実を聞くことができ、かつ9件目の殺人の真実を教えてくれた兄により榛村が雅也以外にもたくさんの人物に同じような手紙を送っていることを聞き自分が榛村に支配されていたことに気づき榛村の元を去る。
 
 
 
そして最初はバカにしていた元同級生で現在同じ大学に通っている加納灯里とデートに行く。
 
 
 
 
一方榛村の元には、榛村を助けるつもりがすっかり榛村のゲームの駒になっている弁護士の姿が。
弁護士の持つ資料にかかれた榛村との文通リストには最近2重線で消された雅也の名前とそして加納灯里の名前も記されている
 
ということがわかって終わり。
 
 
 

感想

殺人事件に巻き込まれたくない
そう思って生きているので(当たり前か)殺人事件にはできれば二つの理由があってほしいと思っている。
 
一つ目は「加害者側がわかりやすく悪者であってほしい」
いかにもな人が犯人だと危険を察知しやすい
 
二つ目は殺された側に理由が欲しい
加害者が家族を守るために必要だったお金をだまし取ったとか、加害者の大切な人をわざと傷つけたとか、被害者側が相手が殺意をもつほど悪いコトをしていたら、その落ち度がない自分には関係のない出来事だと思えることができるから。
 
 
でも今回の殺人犯の榛村大和も温厚で普段は一般人の中に紛れていて、確かに育ってきた環境は最悪といってもいいけど榛村はそれに苦悩しているという感じですらない。
 
そういうの怖い。
一番どうしようもなくて怖い。
 
 
そしてそういう人がまた人を引き付けるのが上手くて人を操るのがうまいって怖いよ怖すぎる
 
そういう怪物みたいな人なのに、これがまったく空想物語でもなさそうなところがさらにさらに怖い。
 
と怖がりながら読みました。
 
最後「よく雅也は気づけたなぁ」って思っていたのに、まだもう一手榛村の方が先に進んでいたことがわかる時とか鳥肌ものでした。